
【結論】家づくりは「80点」とれれば大成功
最初に結論からお伝えします。
これから家づくりを始めるあなたが持つべきマインドセットは、「100点満点の家を目指さない」ということです。むしろ、「80点で合格」と割り切ることこそが、失敗しないための唯一の秘訣です。
一生に一度の大きな買い物。「絶対に後悔したくない」「最高に理想的な家にしたい」と意気込む気持ちは痛いほどわかります。しかし、その「完璧主義」こそが、家づくりにおける最大の落とし穴なのです。
なぜ完璧を目指すと失敗するのか? それは、予算、性能、デザイン、土地…全ての要素で100点を取ろうとすると、「本当に大切なもの」を見失い、最終的に最も後悔する選択をしてしまうからです。
今回は、情報過多な時代だからこそ知っておきたい「家づくりの引き算」の重要性について解説します。
理由1:予算は有限。「一点豪華主義」は家の寿命を縮める

完璧を目指す人が陥る典型的なパターンがこれです。
- 広々としたリビングが欲しい
- キッチンは最高級グレードを入れたい
- 外壁はメンテナンスフリーのタイルがいい
- もちろん、断熱性能も最高等級で!
これを全て叶えられるのは、予算が潤沢にある一部の富裕層だけです。私たち一般的な30代・40代には「予算の壁」があります。
要望を詰め込みすぎて予算オーバーした時、多くの人は何を削ると思いますか? 目に見えるキッチンや内装は削りたくないため、目に見えない「構造」や「断熱材」「窓」のグレードを下げてしまうのです。
これは完全に本末転倒です。
見た目は100点でも、冬寒くて光熱費が高い家は、暮らし始めてからの満足度が50点以下になります。「全てを叶えようとする姿勢」が、結果として家の基本性能を脅かすのです。
理由2:ネット上の「正解」は、あなたにとっての正解ではない
今、SNSやYouTubeを開けば「〇〇は採用するな!」「絶対〇〇にするべき!」という強い言葉が溢れています。
- 「お風呂に窓は不要」
- 「トイレはタンクレス一択」
- 「ベランダは金の無駄」
これらの意見は、あくまで「発信者のライフスタイル」における正解に過ぎません。
例えば、「洗濯物は完全室内干し派」の人にとってベランダは無駄ですが、「天気の良い日は外で布団を干したい派」の人にとっては必要な設備です。
ネット上の「100点の正解」をすべて集めてパズルのように組み合わせても、あなたの家族にとっての良い家にはなりません。他人の評価軸ではなく、「自分たちがどう暮らしたいか」という軸を持つこと。 ネットの意見はあくまで「参考書」であり、「解答用紙」ではないのです。
理由3:家は「建てて終わり」ではない。変化を受け入れる余裕を

家が完成した瞬間を「ピーク」に設定すると、後は減点方式になってしまいます。
- 「思ったよりコンセントの位置が悪かった(マイナス5点)」
- 「壁紙の色が家具と合わなかった(マイナス10点)」
このように細かい粗探しをしてしまい、せっかくの新居生活を楽しめなくなります。
しかし、家づくりを「80点の箱を作って、あとの20点は住みながら調整していく」と考えればどうでしょうか? 家具の配置を変えたり、DIYで棚を追加したり、庭を少しずつ整えたり。家族の成長に合わせて家も変化させていく。
「建物」としての完成度は80点で十分。残りの20点は「家族の暮らし」で埋めていく。 これくらいの余裕を持った方が、長い目で見て愛着の湧く家になります。
【実践編】では、どこで「80点」を取るべきか?
「80点でいい」と言っても、適当に建てていいわけではありません。「絶対に落としてはいけない必須科目」と「赤点でもいい選択科目」を見極める必要があります。
必須(ここだけは妥協してはいけない)
- 住宅性能(耐震・断熱・気密): 後からリフォームすると数百万円かかる部分。家族の健康と命に直結するため、ここだけは「コスト削減」の対象にしてはいけません。
- 雨漏りリスクの少ない設計: 複雑な屋根形状や、軒(のき)のないデザインはリスクが高いです。デザインよりも「家の守り」を優先しましょう。
選択(予算調整で削ってもいい)
- 住宅設備(キッチン・トイレ・洗面): これらは15年〜20年で壊れて交換する「消耗品」です。最初から最高級を入れなくても、将来の交換時にグレードアップする楽しみにとっておけば良いのです。
- 内装の豪華さ: 高価な無垢床や漆喰壁も素敵ですが、予算が厳しいなら、メンテナンスの楽なシートフローリングやクロスでも、機能的には十分「80点」の生活が送れます。
まとめ:賢い施主は「ちょうどいい塩梅」を知っている
今回の話をまとめます。
- 100点満点の家を目指すと、予算オーバーで重要な性能を削ることになる。
- ネットの情報を鵜呑みにせず、自分たちのライフスタイルを優先する。
- 「構造・性能」は妥協せず、「設備・見た目」でバランスを取る。
これから家づくりを進める中で、迷うことが沢山出てくると思います。 その時は、魔法の言葉「まあ、住めば都だし、これは80点でいいか」を思い出してください。
完璧主義を捨てた瞬間、家づくりはもっと楽しく、もっと自由になります。
さて、基本を押さえたところで、次回は多くの人が陥る罠「おしゃれな家=良い家ではない」というテーマで、住宅業界の不都合な真実(デザインの罠)について切り込んでいきます。



コメント