【結論】最低でも「オール樹脂サッシ」。アルミは使うな。

最初に結論をズバリ言います。 これから何十年も住むマイホームを建てるなら、選ぶべき窓の基準はこれです。
【必須条件】
- フレーム:オール樹脂サッシ(PVC)
- ガラス:Low-E 複層(ペア)ガラス以上
- スペーサー:樹脂スペーサー
「え? 営業さんは『アルミ樹脂複合サッシ』で十分って言ってたけど?」 そう思った方、要注意です。 日本の「普通」は、世界の「非常識」。 なぜ「複合サッシ」ではダメなのか、なぜ「オール樹脂」なのか。その理由を解説します。
1. 家の熱は「窓」からダダ漏れしている

まず、衝撃的な事実を知ってください。 冬場、せっかく暖房で温めた熱は、どこから逃げていると思いますか?
- 屋根から:5%
- 床から:7%
- 壁から:15%
- 換気から:15%
- 窓から:58%
なんと、半分以上の熱が「窓」から捨てられているのです。(夏場に至っては7割以上の熱が窓から入ってきます)
つまり、壁の断熱材をグレードアップするよりも、窓を変える方が圧倒的にコスパが良いのです。 「窓をケチる」=「暖房費をドブに捨てる」のと同じことです。
2. 「アルミサッシ」は“缶コーヒー”と同じ

日本の古い家が寒い最大の元凶は、窓枠(フレーム)が「アルミ」だからです。
アルミは熱を非常によく伝えます。 その伝わりやすさは、樹脂(プラスチック)の約1000倍です。
- 冬のアルミサッシ: 外の冷気をそのまま室内に伝え、キンキンに冷えた「冷却装置」になります。
- 夏のアルミサッシ: 直射日光で熱せられ、フライパンのように熱くなります。
世界(欧米や中国、韓国など)では、「アルミサッシは断熱性が悪すぎる」として、住宅への使用が厳しく制限・禁止されている国もあります。 しかし、日本ではまだ普通に使われています。これが「日本の家は寒い」と言われる最大の理由です。
3. 「アルミ樹脂複合サッシ」の罠

最近のハウスメーカーや工務店の標準仕様で多いのがこれです。 「外側はアルミ、室内側は樹脂。だから強くて暖かい、いいとこ取り!」 というセールストークで売られています。
確かに、昔の「アルミ100%」よりはマシです。 しかし、「高性能住宅」を目指すなら、複合サッシでは不十分です。
なぜなら、外側のアルミ部分が冷やされると、枠の中で冷気が伝わり、結局は結露のリスクが残るからです。 「ちょっと良い家」レベルならこれでも良いですが、「35年快適に住む家」を目指すなら、次に紹介する「オール樹脂」一択です。
4. 目指すべきは「オール樹脂サッシ」
外側も室内側も、すべて樹脂で作られた窓です。 (例:YKK APの「APW330」、LIXILの「EW」など)
- メリット: アルミの1000分の1しか熱を伝えないため、結露知らず。窓際に行ってもヒヤッとしない。
- デメリット: アルミや複合サッシより少し高い(家全体で+20〜40万円程度)。
しかし、この差額は光熱費の削減と、「結露拭きの労働」からの解放ですぐに元が取れます。 これから建てるなら、迷わず「オール樹脂」を選んでください。
5. ガラスとスペーサーの選び方
フレームが決まったら、中身(ガラス)です。
① ガラスの枚数:ペアか、トリプルか?
- Low-E 複層(ペア)ガラス: (ガラス2枚)
- 6地域(東京・大阪など)なら、これでOK。 オール樹脂サッシと組み合わせれば十分暖かい。
- トリプルガラス: (ガラス3枚)
- 予算があるなら採用したい。 窓際が壁と同じくらい冷たくなくなり、快適性は最強。寒冷地なら必須。
② スペーサー:隠れた重要パーツ
ガラスとガラスの間にある部品(スペーサー)にも注目してください。 ここが「アルミ製」だと、窓の端っこだけ結露します。 必ず「樹脂スペーサー」に変更してください。(数千円の差です)
まとめ:プロが勧める「コスパ最強セット」

地域別のおすすめ仕様は以下の通りです。
【6地域(東京・大阪・名古屋など)】
- 松(予算あり): オール樹脂サッシ + トリプルガラス(樹脂スペーサー)
- 竹(コスパ最強): オール樹脂サッシ + Low-Eペアガラス(樹脂スペーサー) ←★これが最低ライン!
- 梅(妥協ライン): アルミ樹脂複合サッシ(※結露リスクあり。おすすめしません)
営業マンへの質問: 「御社の標準仕様は『オール樹脂サッシ』ですか? それとも『複合サッシ』ですか? スペーサーは樹脂になっていますか?」
この質問で、「複合サッシです」と言われたら、「差額いくらでオール樹脂に変更できますか?」と必ず聞いてください。 その数十万円は、キッチンのグレードを下げてでも捻出する価値があります。
さて、これで「魔法瓶のような家(高断熱な壁と窓)」ができました。 しかし、魔法瓶の中に人が入って生活すると、息苦しくなりますよね? そう、「換気」が必要です。
次回は、「第一種換気 vs 第三種換気。電気代がかかっても『一種』にするべき理由」について解説します。 換気システム選びを間違えると、せっかく暖めた空気を全部外に捨ててしまうことになりますよ!



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